地域の人の声
2024.01.16
“地域のおばちゃん”として、「大丈夫だよ」と笑顔で子どもたちの成長を見守る
島根県江津市の「自然食品とくらしのもの希樹(きき)」のオーナー
地域の人の声
2024.01.16
“地域のおばちゃん”として、「大丈夫だよ」と笑顔で子どもたちの成長を見守る
島根県江津市の「自然食品とくらしのもの希樹(きき)」のオーナー
寺井 憲子さん
京都府出身。6年前にIターン。島根県江津市の「自然食品とくらしのもの希樹(きき)」のオーナー。江津高校の学校運営協議会の委員(副委員長)であり、「総合的な探究の時間」にも協力。1年生の「地域のヒトモノコトを学ぶ時間」の生徒受け入れのほか、2年生の「探究学習」では地域アドバイザーとして生徒の支援を行う。
生まれ育った京都を離れ、島根県浜田市出身の夫とともに江津へIターンしたという寺井さん。島根の自然や古民家が好きだったものの、京都にいた頃に通っていた自然食品を取り扱う店が島根にはなく、「家の片隅が空いているから、自分でつくろう」と食料品店の開店を決意。オープン後は同じ志を持つ仲間が自然と集まり、ネットワークが拡大。現在は江津高校や、「コドモミライいわみ」といった活動など、子どもに関わる活動にも参加。「失敗もたくさんしてきた」という自身の経験から、悩みを抱える子どもたちに「大丈夫だよ」と寄り添ってくれる、地域にとってなくてはならない存在です。そんな寺井さんに、江津高校についてのお話を伺いました。
――寺井さんはどのような活動をされているのですか。
寺井 憲子さん(以下、寺井さん):「希樹」という自然食品店のオーナーで、週に2回ほど店頭に立っています。2021年夏からは、江津や石見地域の小中学校の学校給食で『未来ある子どもたちへオーガニック給食を!』という目標を掲げ、活動しています。
――とてもアクティブですね。高校生とつながるきっかけは何だったんですか。
寺井さん:最初は夫が木工をやっているので、高校生が体験に来てくれた時に話を聞く程度でした。そのうち「希樹」にも興味を持ってもらえ、授業の一環として、1年生が来てくれたんです。一緒にかまどでご飯を炊いて、おにぎりを握って、味噌汁を作って食べたんです。それから、「総合的な探究の時間」で、リサイクルやフリーマーケットをテーマにしている生徒さんたちがいて、高校の魅力化コーディネーターの方がつないでくださり、少しずつ関わらせていただいています。
――実際に江津高校に関わってみて、どんな印象ですか?
寺井さん:生徒さんはみんないい子だし、元気。だけど、言いたいことが言えないような奥ゆかしさを感じますね。私自身、流れに身を任せてあまり計画性もなく開業したから、失敗ももちろんあったんです。だけど、そこで出会ってきた人にいろいろ教えられてきた。そんな私だから、地域のおばちゃんみたいな感じで、悩んでいる子たちにも「大丈夫だよ」って言ってあげたいですね。今振り返ると、私も高校生の時にいろんな人と話ができていたらよかったと思うので、そんなことが一緒に伝えられたらいいなと思っています。
――「希樹」でやってみたいことはありますか。
寺井さん:店舗が通学路から外れた場所にあったり、通学時間に開いていなかったり、お店として高校生との接点がないのですが、いつか高校生の「たまり場」にできたらいいなと思います。
――素敵ですね。しまね留学生と同じく、他県から島根に来た寺井さんにとって、地域の人はどんな印象でしたか。
寺井さん:とにかく親切な人が多いです。最初は驚いて、お返しに困ることもありましたが、本当に純粋に「何かしてあげたい」と思ってくれる人がいっぱいいます。それが高校生や子どもが対象になると、私も含めてですけど「さらに何かしてあげたい」と思いますね。見返りなんて必要ない。若い人がこの町で活躍することが嬉しいんです。
――なるほど。寺井さんは高校の運営会議協議会のメンバーでもあるんですよね。今後の展望などはありますか。
寺井さん:はい。生徒数の少なさや普通科しかないことが話題になりますが、少人数だから先生や地域の方と距離が近いですし、普通科高校だからこそ、変わりようはいくらでもあると思っています。やりたいということがある子は深堀りすればいいし、探している子はいろんな人に会えるような環境づくりなどをすればいい。あとは、自分の意見を言える、聞いてもらえる時間をつくって、自分の意見を伝えることや他者の考えを尊重するような経験を積んでほしい。そんな環境について地域の人を巻き込んで話していますね。
これからしまね留学を目指す方へ
江津高校は普通科高校なので、専門性はないけれどたくさんの可能性がある。少人数だからこそ生徒同士や先生との距離も近く、地域と連携した学びも多いので、いろんな人に関わることができる場所です。人と関わることの楽しさや、仲間と協力すること、自分の想いを伝えて受け止めてもらえるなどの様々な体験を通して、少しずつ人間力を身につけてくれたら。江津高校を選んでくれた意味があると思っています。
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