地域の人の声

2023.12.26

高校生が将来「地域の魅力を伝えるアンバサダーになってくれたら」と願う仕掛け人

とうふ屋 角久/情報科学高校生と安来由来の商品開発・マーケティング・販売を指導。

角 寛志さん

島根県安来市出身。老舗豆富店「とうふ屋 角久(すみきゅう)」は安来市の自然豊かな能義平野で栽培される【安来市産大豆】を使って豆富や油揚げ、豆乳などを製造販売。令和3年より「やすぎリブランディングプロジェクト※」に携わり、情報科学高校生と安来由来の商品開発を行うとともに、マーケティング・販売(販売拡大)を指導。 ※「やすぎリブランディングプロジェクト」は産学官金連携プロジェクト。地元企業と高校生がそれぞれの強み・特性を活かしながら、地域資源を活用した新たな商品開発などに取り組んでいる。

角 寛志さん

島根県安来市にある、老舗豆富店「とうふ屋 角久(すみきゅう)」の営業担当として活躍されている角さん。情報科学高校の生徒と合同で行う商品開発プロジェクトをはじめ、安来市役所のイルミネーションの発案からビンゴ大会などのイベントの実施、さらにはフォトコンテストの開催など、生徒たちを巻き込んで、地域を盛り上げるためにさまざまな活動を展開しています。高校生の「チャレンジしたい」という思いをサポートするだけではなく、地元企業の魅力を発掘していきたいと語る角さん。そんな角さんに、高校の授業の一環として行っている商品開発のエピソードと、今後挑戦したいことを伺いました。

 

商品開発を通して、地元商品や地元の魅力を発信。

――まずは、情報科学高校と関わることになったきっかけを教えてください。

 

角寛志さん(以下、角さん):最初は、文部科学省の事業として島根銀行さんが高校生と商品パッケージを作るという取組の中で、島根銀行さんから「角久の商品開発をお手伝いできませんか」というお話をいただきました。

 

――文部科学省の取組とは、「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」のことですね。令和2年度「プロフェッショナル型」として全国 4 校 が指定されたうちの1 校が情報科学高校で、地域との協働を通じて、デジタルイノベーション創出人材の育成を目指す取組を行ったと聞いています。

 

角さん:そうです。ただ、食品表示法などの専門知識が必要なので、高校生に任せきりにするのではなく、「商品を一緒に作ろう」と提案しました。私自身も地域に対して何かできないか、特に若い世代に地元商品の魅力を感じてほしいと思っていたのでぴったりでした。

 

 

――商品開発は授業の一環として行ったのですか。

 

角さん:はい。課題研究の授業の一コマを1年間もらいました。最初に考えたのは、何を開発するかです。ルールは、安来産の大豆を使うということだけ。モントローネという洋菓子店さんにもご協力いただき、商品開発が始まりました。

 

――1年目はどのような商品を作りましたか?

 

角さん:豆腐のレアチーズケーキと抹茶・アーモンド味のバタークッキーの2つを作りました。指導には私や島根銀行さんが伺いましたが、パッケージデザイン一つをとっても試行錯誤の連続でしたね。

 

 

――商品開発にどんな思いで取り組まれましたか。

 

角さん:商品開発が目的ですが、私自身は生徒に安来の魅力を伝え、「安来を好きになって卒業してほしい」と思っています。そして、しまね留学生や地元の高校生が県外へ出た後も、島根県や安来市の魅力をPRしてくれたら嬉しいですね。

 

――レアチーズケーキは賞をもらっていましたよね?

 

角さん:伊藤忠食品さんが主催している商業高校を対象にした商品開発のフードグランプリに、開発を担当した1学年下の代の3年生が出場し、全国20校21商品から、オンライン形式の本選に進む7校7商品の一つに選ばれました。後輩たちは、発案者である先輩たちの思いやコンセプトをくみ取らなければいけないので難しさもありましたが、商品や安来市のことを調べ、プレゼンの文章も自分たちで考えて発表に臨んだので、いい経験になったのではないかと思います。


――1年目と2年目での違いはありましたか?

 

角さん:お菓子は安来駅と安来の道の駅で売っていますが、売上に繋げるためにも2年目はデザイナーによるパッケージ指導を実施。他にも先生方は、SNSなどを使って去年開発した商品の販路拡大などの次のステップを考えていたそうです。

 

――情報科学高校と今後挑戦したいことは?

 

角さん:開発した商品を継続して販売したいです。去年(2021年度)開発したクッキーとカレーは、「情報生セット」みたいな形でふるさと納税返礼品に加えてもらいました。今後開発した商品も返礼品に追加されていくといいですね。しまね留学で来ている県外生も地元生も、「情報科学高校であれやってみたい」とか、「3年生になったら商品開発ができる」とか、ワクワクする気持ちが持てることも高校の魅力の一つになってほしいです。

 

 

これからしまね留学を目指す方へ

商品開発の授業はもちろん、地域のコミュニティーの中でもより多くの出会いに触れてほしいです。新しい出会いが連鎖していくと、自分でも想像できない未来が待っているかもしれませんよ。あとは、せっかく商品開発に携わるなら、みんなで楽しんでほしいです。毎年商品が形になり、販売できる時期には生徒同士の一体感が生まれるんです。一年間、本気で商品開発にチャレンジした後に自分自身が何を感じるのか。ぜひ体感してほしいです。

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