地域の人の声
2023.12.22
教員とともに地域づくりを行いながら、島親として卒業後も留学生との縁を大切にする。
学校運営、教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的な助言・指導を通して学校の教育活動を支える専門家現職
地域の人の声
2023.12.22
教員とともに地域づくりを行いながら、島親として卒業後も留学生との縁を大切にする。
学校運営、教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的な助言・指導を通して学校の教育活動を支える専門家現職
山下 裕次さん
2017年より5年間、島根県海士町で町教育委員会の教育方針を踏まえた地域づくり・ひとづくりを推進していく「社会教育主事」として活動。2022年度より学校運営、教育課程、学習指導その他学校教育に関する専門的な助言・指導を通して学校の教育活動を支える専門家現職。さらに、島親として留学生の学外での生活や体験を支えている。
元々教員で、現在は社会教育主事や指導主事としての経験を生かし、教員と連携や地域づくりに携わっている山下さん。学校を育てていくためには、地域を育てないといけないという考えのもと、教育面から島根の活性化を支えています。その一方で、県外からの留学生の「島親」としては4年目を迎えました。島親とは、留学生が学外で地域の方とつながり、充実した留学ライフを過ごせるように支援をするサポーターのこと。隠岐島前高校では1人の留学生につき、1人の島親が割り当てられ、生活・学校面の悩みを聞いたり、休日にはレジャーや地域の方との交流を楽しんだりと家族のように手助けを行います。2人の子を持つ保護者であり、教育行政職員であり、島親でもある山下さんにお話を伺いました。
※島親(まち親)制度はすべてのしまね留学推進校で実施しているものではありません。
――社会教育主事として活躍しながら、島親になったきっかけは何でしょうか。
山下 裕次さん(以下、山下さん):島親になって3年目になります。私にも娘が2人いて、保護者の目線がわかるからこそ、貢献できると思いました。それから、社会教育主事は「地域づくりに携わる人づくり」みたいな仕事も含まれるのですが、島留学をする生徒は「地域でしかできない経験がしたい」という志を持っている子が多いので、何かできると思ったんです。
――初めて島親になった時はどうでしたか。
山下さん:
初めて島親になった時は、海士町の教育委員会に勤めていて、男の子の留学生を受け入れました。その子は、子どもキャンプをはじめ、子どもに向けた事業の企画をするところから手伝ってくれて、島親というよりも「一緒にやっている仲間」みたいな感じもありましたね。最初は社会教育主事という立場もあって受け入れた側面もありましたが、志が高い子たちは、私が介入しなくてもいろいろな人とつながってスケジュールも埋まっていく。だから今は、仕事柄ではなく娘たちにとってもいい関係が築けたらとも思っています。
――留学生と娘さんとのかかわりはどうでしたか。
山下さん:
今まで受け入れた3人のうち、2人目と3人目は女子生徒だったこともあり、娘たちとも仲良くなりました。一緒にプロバスケットボールチームの試合を見たり、親元のご実家から野菜をいただいて、そのお礼に岩牡蠣を送ったり。2人目の子は神奈川県出身でしたが、今は鹿児島県の喜界島で島留学の寮を立ち上げたりする仕事に携わっているんです。島根県の知夫村でも島留学をしているんですが、その子が視察で知夫村に来た時に再会できたのは嬉しかったですね。
――すごくいい関係ですね。留学生に期待していることはありますか?
山下さん:私は教育に携わっているので、地元の子たちにも地域活動に参加して、大人と一緒に学んでほしい。だけど、地元の子の熱量はまだまだなんです。だから留学生が地元の子のやる気にも火をつけてくれたらいいですね。自分で考えたことを実現できるのは島ならではの魅力ですから。実際に、地元の子でも地域活動に興味を持つ子が増えつつある気はしています。
――いい循環ですね。留学生との嬉しかった思い出はありますか。
山下さん:例えば魚釣りなど、楽しい思い出はあります。あとはやっぱり、卒業後も関係が続くこと。島の中にはずっと島親をやり続けている人もいる。だから本当に楽しいんだと思います。地元の人も、「何かしてあげたい」という気持ちがすごくたくさんある。だけど、地元の大人も子どもも奥ゆかしい人が多いから、島外から来た人が「これやりたい」と前向きに話してくれると、「あの人に相談したらどう?」と話が広がっていくのも素敵だなと感じています。
――なるほど!じゃあ、これからやってみたいことはありますか。
山下さん:留学生にしてあげたいことはたくさんあるけど、手が回らないこともある。知夫地域の人と話したのは、島親とは違うけど、教育委員会としてイベントをしたり、地域の誰かとつないだりできないかと。私も新しいアイデアを出すのが好きなので、いろいろ広げていけたらと考えています。
これからしまね留学を目指す方へ
県外から島根に来てくれた皆さんにとってはもちろん、地元の子どもや地域の方にとっても、留学生のみなさんとの出会いが素敵なものになればと思っています。「島親」というとイメージしにくいかもしれませんが、あまり緊張せず、自分に合った付き合い方をしてほしいですね。あとは気軽に「あれがやってみたい」と言ってもらえれば、島の大人たちが「あの人ならできるかも…」と動いてくれるはず。ここは、やりたいと思ったことを実現できる場所ですよ。
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