島根県立飯南高校 草間美里さん

自ら主体となって考えることで自信をつけた
地域に積極的に関わっていった草間美里さん

毎年10人ほどの県外留学生を受け入れ、少人数教育や地域との積極的な関わり合いを特色とする島根県立飯南高校(同県飯石郡飯南町)。千葉県から同校に留学し、卒業後の現在は福知山公立大学(京都府福知山市)で学ぶ草間美里さん(20)は、「自信がついた」と高校時代を振り返ります。草間さんが高校在学中に同校の高校魅力化コーディネーター(※1)を務めていた三島誉宝(やすほ)さんとともに、高校3年間を振り返ってもらいました。

 

※1 学校と地域をつなぐ存在として、生徒募集活動や生徒の地域活動の支援、また探究学習のサポートなどを担っている。2020年5月現在、県内に50人程度配置されている。

「やりたいことを全部やる」 地域に積極的に関わった3年間

――本日はよろしくお願いします。早速ですが、草間さんがしまね留学を考えることになった理由について教えてください。

草間美里さん(以下、草間さん):新しいことに挑戦したいというのが理由の一つです。親元を離れて新しい環境で過ごすことで生活力が身に付くのではという考えもありました。



――留学先を飯南高校に決めた理由についてもお聞かせください。

草間さん:飯南高校も含めて島根の高校2校を見学したのですが、寮がとてもきれいだったことが決め手となりました。中学生のときはソフトボールをやっていて、もう一つの高校にはソフトボール部があったのですが、最終的には「快適に毎日を過ごせるか」という部分を重視しました。

三島誉宝さん(以下、三島さん):入学してすぐに会った印象は「笑顔がかわいい子だな」というものでした。ソフトボール部に所属していたことも聞いていたので、活発なイメージもありましたね。


――全く知らない土地の高校に進学するにあたって不安はありませんでしたか。

草間さん:「友達ができるかな」という不安はありました。それでも、寮で生活していくなかで友達ができましたし、同部屋の先輩にも良くしていただけたので、自然と不安は解消されていきました。飯南高校は県外から入寮する人も多いので、寮で様々な地域の方言が飛び交っていたのに驚きました(笑)

――高校生活において、草間さんと三島さんは普段どのように関わり合っていたのでしょうか。

三島さん:地域の方との交流を起点にしたものが多かったですね。コーディネーターは、「ホストファミリー」である町内の方と県外から来た寮生を結び付けます。草間さんには、ホストファミリーの方とどんなことをしたか、どんな話をしたかということを普段から聞いていました。

草間さん:ホストファミリーの方の家に泊まりに行ったり、一緒に地元の行事に参加したりしました。ホストファミリーの方が、地域に溶け込んでいくための入り口となってくださいました。

三島さん:地域交流の機会は、ホストファミリーの方との交流だけではありません。飯南高校には「生命地域ラボ」という放課後クラブがあります。活動ごとに有志の生徒が集まる形をとっていて、地域のお祭りのお手伝いなどを行っています。そのほかにも、生徒の希望で企画が決まることもあります。例えば、保育士を目指している生徒がいたとして、その子の希望で地元の保育園に伺って交流します。草間さんはかなり積極的に参加してくれていましたね。参加募集で一番に手を挙げてくれるという印象です。


草間さん:「せっかく来たんだから自分がやりたいと思ったことは全部やろう」と考えていました。

三島さん:私はコーディネーターとして、生命地域ラボの取りまとめを担当していましたが、草間さんはありがたい存在でした。飯南高校は、地域と交流してもらうよう生徒の背中を押すという特徴があると思いますが、草間さんはこちらから働きかけなくても動いてくれましたね。

――生命地域ラボで印象に残っていることは何でしょうか?

草間さん:飯南町の伝統行事に「はやしこ」というものがあります。華やかな衣装を着て太鼓などの楽器を鳴らすもので、その行事に参加させていただいたことがとても印象に残っています。私が住んでいた地域(千葉県)ではこのような行事はなかったので、とても新鮮に感じられました。県外から来た私でも参加させてもらい、地域に溶け込めたような気がして嬉しかったです。

マイプロジェクトや副寮長の経験から考える力を身につけた

――三島さんにお尋ねしますが、草間さんを3年間そばで見守っていたなかで印象に残っている出来事はありますか。

三島さん:2年生の終わりに、自分の興味のあるテーマについて探究した成果について発表する場がありました。全体の発表が終わって感想を自由に言う時間だったと記憶していますが、発言が必須な場面ではなかったのですが、自分から手を挙げていました。

草間さん:もともとは人見知りで引っ込み思案なタイプです。

三島さん:出会ったころから「こうしたい」という興味関心については言葉にしていました。それでも、自分のなかにある疑問について人に聞くことが苦手だったと思います。なので、自分の考えについて手を挙げて話していた姿は大変印象的でしたね。

草間さん:高校生活の最後のほうでは自分の意見について言えるようになったと思います。

――なぜそのように変われたのでしょうか。

草間さん:自信が付いたことが一番だと思います。地域の方と触れ合う中で「自分の話を聞いてくれる人がいるんだな」と感じるようになりました。大人の方と話すのに慣れていったことも大きいです。

三島さん:自信が付いたのは、マイプロジェクト(※2)を進めるなかで主体的に物事を考えていたからというのも要因としてあると思います。物事について考えて、自分の言葉になることで自信が付いたのではないでしょうか。
※2 全国の高校生が自らの課題について探究学習し、成果を発表する。島根県Summitなど全国各地域、都道府県で発表の場が設けられており、全国Summitで最優秀プロジェクトに選ばれた高校生には文部科学大臣賞が贈られる。


草間さん:マイプロジェクトは今振り返れば反省点もあります。4人のチームで実施していたのですが、テーマを固めることが難しかった。それぞれが意見を出し合って、それをまとめるのも難しくて。ただ、そうやってチームで考えながら話し合えたのは良い経験になったと思います。

――かなり試行錯誤したことが伝わります。他に悩んだことはありますか。

草間さん:3年生の時に女子の副寮長を務めていました。そこで寮長との意思疎通や、寮のメンバーの意見のとりまとめに悩んでいた記憶があります。

――具体的にはどんなことに悩んでいたのでしょうか。

草間さん:共同生活を送る中でのルール作りの部分です。小さいことなのですが、「ごみは見つけた人が捨てよう」「スリッパを並べよう」という部分です。ルールを守れない人がいたとき、そこでいちいち注意するのか、注意するとしても誰がいつするのか、という部分で女子の間でたくさん話し合いました。当時の女子の寮生は20人ぐらい。取りまとめ役をするのは人生でも初めての出来事だったので、いろいろと試行錯誤しました。

――工夫したことはありますか。

草間さん:3年生だけでなく、1年生の意見もきちんと聞くように意識していました。大変でしたが、これも良い経験をさせていただきました。千葉にいたらできなかった経験だと思います。

地域に関われる形を模索中

――現在、福知山公立大学の3年生。学部は地域経営学部という、地域について学ぶ学部です。

草間さん:しまね留学で地域交流した経験が大学選びでも影響しました。これまでの経験が生かせると思い、地域系の学部を選んで受験しました。

――将来について考えていることはありますか。

草間さん:飯南高校のコーディネーターのように、地域に関われる職業に就きたいと考えています。今は市役所など地方公務員の道も考えていますが、まだ模索中です。

三島さん:まだいろいろと悩んでいるんだろうなと思います。それでも、高校生活では悩みながらも成長していった頼もしい姿を知っています。良い意味で卒業後も変わっていないなと安心しましたね。

――飯南高校の環境が草間さんを成長させてくれたのですね。その飯南高校の良いところはどんなところでしょうか。

草間さん:生徒数はそんなに多くありません。だからこそ、先生やコーディネーターが生徒一人一人と向き合ってくれます。自分の思いを真剣に聞いてくれる。さきほどの「自信が付いた」という部分につながるところですが、そんなところが良い部分だと思います。

三島さん:県外からの入学生が増えてきたことで、様々な価値観が良い形で混ざり合っていると思います。「こんな価値観の人もいるんだ」とそれぞれの生徒の間で刺激し合えるところが良い部分です。

――最後に、しまね留学を考えている方に飯南高校の魅力を伝えてください。

草間さん:私は飯南高校に行くまで将来の夢や、やりたいことがありませんでした。「将来の夢は何?」と聞かれることが苦手だったのですが、今は地域に関わる仕事に就きたいという自分の方向性を持つことができています。それは、飯南高校で学んだこと、培った経験がそうさせてくれたと思います。人も優しく、「田舎の良いところが詰まっている」ともいえる飯南町で、ぜひ学んでほしいです。

 

学校情報

島根県立飯南高等学校

 

〒690-3401
島根県 飯石郡飯南町 野萱800
TEL : 0854-76-2333

 

学校詳細 : https://shimane-ryugaku.jp/iinan/