しまね留学インタビュー

2021.06.10

島根県立三刀屋高校 酒井亜寿花さん

酒井亜寿花さん

・ 広島県出身
・ 全国大会に何度も出場している三刀屋高校に憧れてしまね留学に

酒井亜寿花さん

明確な目標を持ち続けた3年間
勉強と両立しながら全国の舞台に立った酒井亜寿花さん

キャリア教育優良学校として文部科学大臣表彰を受けたことがある島根県立三刀屋高校(同県雲南市)は、授業改善・家庭学習・課題研究の「三高トライアングル学習」に力を入れて取り組んでいます。全国大会常連のソフトボール部への憧れから三刀屋高校に広島県から留学した 酒井亜寿花さん(令和2年度卒業)は、部活動だけでなく進路を考えるなかで課題研究にも積極的に取り組みました。同校を卒業した酒井さんが、3年時の担任を務めた宇田聡先生とともに3年間を振り返ります。

インタビュー中の風景

ソフトボールで全国を目指し留学を決意

 

――三刀屋高校を選んだ理由を教えてください。

 

酒井亜寿花さん(以下、酒井さん):ソフトボール部が全国大会に何度も出場している学校と知り、私も全国に行きたいと思ったからです。ソフトボールを始めたのは中学1年の時で、野球をやっていた兄の影響でした。中学時代のポジションは内野とキャッチャーでした。

 

 

――他校も考えられましたか。

 

酒井さん:他校とも迷いましたが、オープンスクールに参加した時に「いいな」と思いました。他の学校も良い雰囲気でしたが、ソフトボール部の先輩方が入部を勧めてくださり、決意しました。

 

――県外の高校に通うということで不安はありませんでしたか。

 

酒井さん:入学前は楽しみの方が大きかったです。ただ、入学してからは寮の仕組みもよくわからず、また時間に厳しいことなどでしんどいと思うことはありました。親元を離れて自立できるかという不安もありましたし、寮には「親元に帰りたい」と話す寮生もいました。

 

――どのようにして不安を乗り越えましたか。

 

酒井さん:私の場合は、同じソフトボール部の寮生の存在が支えになっていました。県外生は2人だったと思いますが、地元生ともすぐに溶け込んだと記憶しています。人見知りをしないタイプなので、積極的に話しかけました。実家がある広島と島根は、距離は近いですが、それでも県民性の違いを知ることができて面白かったです。

 

 

宇田聡先生(以下、宇田先生):酒井さんは積極的で明るい人柄です。他のしまね留学の生徒も同じですが、他県からの生徒として特別意識したことはありません。それでも他地域から来る生徒たちは、「三刀屋高校を選んだ」いう意識が強いと思います。その分、学校の活動にも積極的に取り組む学生が多いのではないかと感じています。いろいろな活動の中で、先頭に立って引っ張っていける学生が多いのかな、という印象です。

 

 

勉強と部活に打ち込んだ3年間

 

――部活と学業の両立は大変だったのではないですか。

 

酒井さん:はい、大変でした(笑)

 

宇田先生:生徒の学習時間をチェックできるアプリがあるのですが、酒井さんは初めのころから学習時間はクラスでも1、2番でした。きちっと目標設定をして、そこを目指してがんばれる子だと思いました。

 

酒井さん:3年の時は進路を決めることもあり、がんばりました。

 

――苦労したことは何ですか。

 

酒井さん:勉強です(笑) 特に数学が苦手だったので、テスト期間は教科担当の先生に積極的に質問しました。友達に聞くこともありましたが、先生に聞くことの方が多かったです。

 

宇田先生:教科が違いますので詳しくは分かりませんが、私にはそんなに質問はなかったと記憶しています(笑)

 

――方言に慣れるのに時間がかかったそうですね。

 

酒井さん:授業中に先生がすごい急に方言で話したことがあって。「これ何!?」となりました。でも地元生からも「亜寿花のその言葉分からんわ」と言われることもありましたので、お互い様だなと思いました(笑)

 

宇田先生:(笑)

 

――強豪校のソフトボール部に入部してみて、いかがでしたか。

 

酒井さん:大変なことはたくさんありましたが、卒業してみて今は三刀屋高校のソフトボール部に入ってよかったと思います。ソフトボールだけでなく、人として成長できました。礼儀やマナーなどをたくさん学ぶことができ、社会に出てからも通用すると思います。

 

――全国大会に出たこともある三刀屋高校ですが、酒井さんの世代はいかがでしたか。

 

酒井さん:私も全国大会に出場しました。中学の時から「三刀屋高校で全国大会に出場したい」という思いを持っていたので嬉しかったです。それだけでなく、お世話になった地域の人や両親に恩返しができたらと思っていたので、それが達成できたことも嬉しかったです。一段上のレベルでソフトボールができるよう、両親は中学の時から三刀屋高校への進学を後押ししてくれました。

 

宇田先生:自分が担任だった昨年は、新型コロナウイルス感染症の関係で大会が中止になってしまいました。それでも一生懸命にソフトボールを頑張っていたので、しっかり応援していこうと思っていました。

 

――部活以外で取り組んだことを教えてください。

 

酒井さん:学校の課題研究で医療分野に取り組みました。中学のころから将来は医療関係の仕事に就きたいと思っていました。卒業後も医療関係を学ぶ予定です。

 

宇田先生:総合的な学習の時間(※1)を、テーマを決めてしっかりやるようにしています。特に三刀屋高校では地域で学んでいくことを重視しています。
※1 現在は「総合的な探究の時間」。一般的な教科・科目とは別に、実社会・実生活に根差した学習、フィールドワークなどを行う授業。具体的な授業内容については各学校で策定されている。

 

酒井さん:課題研究では雲南市の病院を訪問させていただき、マタニティーブルー(産後うつなど)について研究しました。雲南市は病院の先生が家庭訪問できる機会を設けているのですが、人口減少や少子化の影響でそうした訪問が難しくなっているといった課題があることを知りました。3年生の時にコロナの関係で実習に行けなかったのは残念でしたね。

 

 

進路決定後も次の目標に向けて準備

 

 

――進路決定後も学習時間が変わらなかったそうですね。

 

宇田先生:酒井さんの進路決定は早かったのですが、1月の終わりまできちっと放課後補習も出て、大学でやっていけるだけの基礎学力をつけるためにがんばっていました。

 

酒井さん:ありがとうございます。自立しなければならないことがたくさんあって。自分で考えて動かなければならないことも多い。でも三刀屋高校の先生は困っていたら優しく教えてくださいます。

 

――3年間の変化はどこに感じていますか。

 

酒井さん:部活を通して、人のことを考えられるようになったと思います。特に礼儀を教わりました。以前はこんな考え方ができなかったと思うので、少し大人になれたかなと思います。

 

宇田先生:やらなければならないことを、しっかりやる生徒でした。作業においても、人があまりやりたがらないこともやります。そういったことを嫌がる生徒が多い学校ではありませんが、その中でも率先してやっていました。

 

 

――進学後もソフトボールを続けるのですか。

 

酒井さん:進学先で保育実習と部活を両立するのは難しいので、一度ソフトボールは離れて2年間は大学の勉強に集中します。ただ、その後は地元のチームで続けようと考えています。

 

――しまね留学を体験してみて、どのような感想をお持ちですか。

 

 

酒井さん:3年間の経験は大学や、大学を出てからも役に立つと思います。しまね留学のプログラムに興味がある方がいて、伝えられる機会があれば魅力を伝えたいですね。まずは「三刀屋高校に興味ない?」と、自分が通っていた学校を勧めたいと思います(笑)

 

宇田先生:親元を離れて高校3年間を県外で過ごすことは、誰しもできる経験ではありません。挑戦したいという気持ちがあれば、ぜひ挑戦してほしいと思います。卒業していく県外生には、目標を持って選んだ学校で取り組んだことを基に、次の目標に向かって巣立ってほしいです。

 

学校情報

島根県立三刀屋高等学校

〒690-2404
島根県 雲南市 三刀屋町 三刀屋912-2
TEL:0854-45-2721

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