しまね留学インタビュー
2025.06.18
島根県立大田高校 小西三太郎さん
しまね留学インタビュー
2025.06.18
島根県立大田高校 小西三太郎さん
小西三太郎さん
・神奈川県横浜市出身
・鉄道が好きで、いろんな場所を訪れる中で自然や田舎に興味を持つ。
学校で配布された地域みらい留学のパンフレットを見て大田高校へ
鉄道愛と地域への興味をいかし、
島根県内の大学へ進学を決めた小西三太郎さん。
島根県のほぼ中央部に位置し、日本海に面した島根県大田市。鉱山・産業遺跡としては初の世界遺産登録が決定した石見銀山遺跡、南東部には大山隠岐国立公園に属する三瓶山があるなど豊かな自然に囲まれたこの町で、小西さんは高校の3年間を過ごしました。神奈川県横浜市という大都市で育った小西さんに、大田市での出会いや暮らしがたくさんの驚きと成長をもたらしてくれました。そんな小西さんに、大田高校を選んだ理由や島根の魅力、将来の夢についてお話を伺いました。
地域への興味と、数々のつながりに縁を感じて島根大田市へ
――小西さんがしまね留学するに至った経緯を教えてください。
小西さん:もともと鉄道が好きで、訪問した先で自然の景色や田舎の人々の生活を見て、「こういう世界に行けたらいいな」と思っていました。進学先は、島根を選んだというよりも「大田高校」そのものに惹かれたんです。学校で「地域みらい留学」のチラシをもらって全参画校の進学率を調べたら、特に国公立大学への進学者が多かったのが大田高校!ほかにも実家のご近所さんや小学校時代にお世話になった先生が偶然大田高校出身で、縁を感じていました。それに母親が島根県松江市の出身で、母自身は小さい頃から大田にお墓参りに行っていたそうで、家系的にも何代か遡れば大田に繋がっている。「これって、呼ばれているな」と思いました。
――留学前に不安だったことはありましたか。
小西さん:特になかったですね。11月くらいに大田高校のミニオープンハイスクールというイベントで現地訪問しました。その時に校舎がすごくきれいだなと思ったのを覚えています。僕は心配症なのですが、初めての寮生活も、大田高校への進学も、不思議と全く心配なことがなく、楽しみの方が勝ってワクワクしていましたね。両親にも相談しましたが、何の迷いもなく、「いいんじゃない?」と言ってくれました。
自然豊かな町で一番力を入れたのは、地域活動
――放課後や休日はどのように過ごしていましたか。
小西さん:部活動には所属していなかったので、放課後は友達と残って勉強したり、おしゃべりしたりしていました。友達とたくさんの時間を共有する中で、自分が生まれ育った横浜と大田で育った人の感覚や言葉の違いを知りましたね。休日の過ごし方として、年に数回は電車で出雲市にあるショッピングモールに行って映画鑑賞やご飯を楽しんでいました。石見銀山に行ったこともありましたね。
――地域とはどういうきっかけで関わりましたか。
小西さん:高校での探究学習をきっかけに地域と関わりました。大田市のあなごの漁獲量は日本でもトップクラスなのですが、探究学習でそのあなごを使った商品を開発して販売するプロジェクトを行っていました。「道の駅ごいせ仁摩」で、11月11日に「大あなごフェス」というイベントがあったのですが、そこで商工会議所の方や地元の飲食店、大田市役所の方と関わりながら、あなごの春巻きを作って屋台販売したんです。とても好評でした。
――いい経験をしましたね。
小西さん:そうですね。チーム内ににとても熱心な人もいて、刺激をもらいました。あなごの探究学習に加えて、eスポーツ大会開催に関わったのもいい思い出です。eスポーツ大会は、大田市の商工会議所や島根のeスポーツ連合とも協力して、2023年12月10日に実施しました。子ども向けに「太鼓の達人」や「フォートナイト」などのゲームを会場に設置して、来場者に自由にプレイしてもらう、完全無料のイベントです。僕自身は「イベントを通して大田市を盛り上げたい」と思っていました。大会当日は家族連れも多く訪れ、総来場者数は200名ほど。高校生5人でやり切りましたね。僕はeスポーツ大会の公式Tシャツのデザインに加え、商工会議所の方と連携しながら実際に設置するゲームを決めるなど、高校生チームの一員として積極的に取り組みました。
学んだのは、地域活動の難しさと大人たちの温かさ
――地域活動を通して、どんなことを感じましたか。
小西さん:大田市教育委員会の方があなごのプロジェクトもeスポーツ大会も親身に支えてくださいました。例えばあなごの販売を手伝ってくださったり、今後の対応で悩んでいた時に親身に寄り添ってアドバイスをくれたり。そうした大人の人たちのサポートもあって、あなごの販売もeスポーツ大会もとても好評でしたが、それと同時にこういった活動の難しさも感じたんです。地域振興は一過性のものではなく何年もの時間がかかるし、個人の力だけではなく地域一体となってやることの重要さを感じました。
――それは、大田高校に来たから感じられたことですね。
小西さん:はい。大田にきたことで間違いなく世界が広がりました。今まで地方の暮らしが不便だというイメージがありましたが、大田市はドラッグストアやコンビニ、スーパーもありますし、結構便利で、都会から移住する選択肢もありだと思います。地元の人たちと関わってみて、子どもたちのことを一番に考えてくれていると感じるシーンが多く、これが横浜との一番の違いかもしれません。例えば、島根中央信用金庫の自習室を無料で開放してくれたり、高校生や小学生向けのイベントがあったり。「未来を担う若者に、島根に残ってほしい」という気持ちの表れなのかもしれないですね。そんな温かさがあります。
――その温かさは、学校でも感じられましたか。
小西さん:担任の先生は、少しでも悩んでいたらすぐに面談をしてくれて心強かったです。入学したばかりの頃、僕はクラスメイトにとって「神奈川から来た、ちょっとよく分かんないやつ」だったと思うのですが、先生が授業で昔からのニックネームで呼んでくださって、クラスメイトもそのニックネームで認識してくれたんです。僕が少しでも早く打ち解けられるように、手助けをしてくれたんだと思います。私生活のことも気にかけてくれて、1年生の後半にホームシックになりかけた時も、すごく熱心に話を聞いてくださいました。
鉄道愛と地域への思いがつながり、研究の道を視野に
――将来チャレンジしてみたいことがあれば、教えてください。
小西さん:もともと鉄道好きなこともあって、大学院に進んで地方の車社会化と衰退していくローカル線に関して研究したいと思っています。そういう意味では島根はいい舞台かもしれないですね。高校に保護者たちの車が収容できる広い駐車場がある時点ですごいし、入学式の日は「こんなに車が来るの?」と驚きました。横浜の学校は「公共交通機関で来てください」とお知らせが来るのが当たり前でしたから。
――大田で暮らして未来が広がっていますね。大学は決まりましたか。
小西さん:関東地方の大学を考えていましたが、3年生の12月頃にふと「島根もいいな」と思い、島根県内の大学を受験しました。僕のしまね留学がこんなに充実したものになったのは、先生やイベントで関わってくれた大人たち、そして友達のお母さん、近所の美容師さんなどいろんな人の存在があったから。お世話になった方々が一番喜んでくれるのは、僕が島根に残ることなのかなと思ったのが受験の決め手です。それに地理学を学びたいのですが、その島根県内の大学には地理学の研究室があります。同級生でその大学に進学する人もいるので、大学で新しい世界に飛び込みつつ、大田高校でできた仲間とも関係を深めていきたいです。時には、大学で出会う新しい仲間と大田高校の友達との“かけはし”になれたらと思っています。
――しまね留学に対する満足度と、得たものはなんですか?
小西さん:大満足です。成功も失敗もありましたが、反省はあっても後悔はありません。3年間の島根生活を通して、数え切れないほどの経験ができたこともさることながら、たくさんの「縁」ができました。1つの縁がまた新しい縁につながり、今の自分があると感じます。シンプルなことですが「縁」を大事にしたいと、改めて深く感じた日々でした。これからも島根は第二の故郷です。
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これからしまね留学を目指す方へ
普通の選択をしていたら絶対に会うはずのなかった方々と出会えて、すごく刺激をもらえます。留学で後悔することは絶対にないので、まずは一歩踏み出してほしいです。大田高校は普通高校で国公立大学の進学率も高い。大学にも行きたい、地域とも関わりたいっていう人にはオススメの高校です。
学校情報
島根県立大田高等学校
〒694-0064
島根県大田市大田町大田イ568
TEL:0854-82-0750
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