しまね留学インタビュー

2024.07.23

島根県立津和野高校 小野 心晴さん

小野 心晴さん

・兵庫県出身
・父の提案でしまね留学を決意

小野 心晴さん

「人が好きな自分」に気づき、
自信を持って子どもの頃からの夢へ踏み出した小野心晴さん

山間の小さな盆地に広がる町並みの美しさから、山陰の小京都としても知られている津和野。江戸時代には津和野藩の城下町として栄え、山陰地方を代表する観光地でもあります。SLやまぐち号の終着地でもあり、キリスト教会や文豪森鷗外の生家もあるなど、歴史と文化が息づく街です。地域の人と関わりを求めてこの場所に留学を決めた小野心晴さん(令和5年度卒業)は、当初「自分はあまり人と関わるのが好きではない」と思っていたそうです。しかし、津和野で積極的に挑戦することで、自ら地域の人に話しかけることができるまでに成長。長年温めていた「保育者になる」という夢に向かって、大きな一歩を踏み出した小野さんにお話を伺いました。

インタビュー中の風景

教育関係の仕事をしている家族の勧めで、留学を決意

 

――まずは小野さんが津和野高校に留学するに至った経緯を教えてください。

 

小野さん:私は小・中どちらも全校生徒が少ない学校に通っていて、クラスも1学年1クラスみたいな感じでした。そんな中でも地域の人と関わるのが好きで、楽しかった思い出があったんです。今は違うんですけど、昔は絵本作家になりたかったので、小学5年生の夏休みの自由研究では、地域の人に「この街のいいところ」や「変わってほしくないところ」をインタビューして、それを絵や文章で表現していました。中学生になると吹奏楽部に所属したこともあり、地域の方と関わることがなくなったのですが、小学生の時に体験した地域の方との関わりが忘れられず、高校でも地域の人と関わりたいと思っていました。「しまね留学」を考えたきっかけは父です。教育関係の仕事をしているのですが、「地域みらい留学っていうのがあるよ。島根がいいんじゃない」と言われて、調べ始めました。

 

――なぜ津和野高校を選んだのでしょうか。

 

小野さん:家族の勧めで津和野高校に興味を持ったんですが、オープンスクールが終わってしまっている時期で。11月ぐらいだったと思いますが、それでも問い合わせたら、わざわざ時間を作って先生方が校内を案内してくださったんです。その先生方の対応に「津和野っていいな」って思いました。それに私の住んでいる街と違って、すれ違った方もフレンドリーに挨拶をしてくださって、「いい人が多い、素敵な街だな。もう津和野にしよう!」と思いました。それから、「グローカルラボ」っていう地域活動を積極的に行っている部活動があるのも、地域の方と関わりたかった私にはぴったりでした。自分のしたいことを企画できるこの部活に入れたら、地元の高校に普通に通うよりも貴重な体験ができるとワクワクしました。

 

 

――素敵ですね!ちなみに、留学前に不安だったことはありますか。

 

小野さん:寮生活です。一人っ子なので身の回りのことは両親がしてくれていたので、親元を離れての生活は不安でしたね。寮なのでご飯は作らなくてもいいですが、学校に通いながら、洗濯や掃除をするのは思っていたよりも大変でした。あとは4人部屋だったので、新しい生活になじめない中での共同生活も心配でした。でも1年生の時には下宿で1人部屋でしたし、意外とすぐに馴染むことができました。

 

 

部活動を通して、野菜を栽培・販売。プレゼンにも挑戦

 

――3年間で一番熱心に取り組んだことはなんですか。

 

小野さん:入学の決め手にもなった「グローカルラボ」という部活動での活動です。部活内でいろんな班に分かれるのですが、私は「畑」班。畑を耕して種を撒いたり、道の駅で野菜を販売したりと、農業に関わることを行っていました。あとは「しまね探究フェスタ」という探究学習の学びを他校の学生と共有し合うイベントでこの活動を発表しました。

 

――いろんな活動をされているんですね。中でも一番がんばったことは?

 

小野さん:畑班は8人。夏は毎日水やりをして、冬は週4で間引きをするなど日頃からお世話をしていますが、販売前の収穫が結構大変なんです。白菜、大根、キャベツなど大きな野菜を収穫して水路で洗うのですが、12月だったので寒さもあって。だけど、自分で育てた野菜が収穫できた時の喜びは大きいですね。栽培方法を農家さんなど地域の方から教われるのも、地域活動に興味があったので嬉しかったです。

 

 

新しい自分の一面を知り、自信を持って進路を決められた

 

――卒業後、保育の道に進むきっかけはなんですか。

 

小野さん:もともと子どもが好きで、中学の2年ぐらいから保育士や幼稚園教諭に興味がありました。フォトスタジオとかいろんな仕事も考えたうえで、やっぱり子どもと一番密接に関われるのは保育士さんだなと思って。子どもが好きなのはもちろんですが、遊びながらいろんなことを教えてあげたいし、子どもにとって初めての経験を見守っていきたいと思いました。

 

――素敵ですね。津和野高校に来て、「変わったな」と思うことはありますか。

 

小野さん:私は人と関わるのは好きだけど、友達とも一定数の人としか接してこなかったし、先生ともあまり話してこなかったんです。でも今は、自分から地域の小学生に「遊ぼう!」と声を掛けられるくらい、積極的に人と話せるようになりました。部活動での野菜の販売や発表を通して、人前で話すのも得意になりました。もちろん、今でも緊張はしますが、中学生の時の自分からは考えられなかったです。

 

――ここにきてすぐに変化があったんですか。

 

小野さん:1年生の時は、中学時代とあまり変わらなかったと思います。1年生の時は部活動でも先輩のお手伝いが多くて、自分たちが企画したり、主体的に何かを動かしたりすることがなかったからかもしれません。2年生になると自分が先頭になってやることも増えて、徐々に積極的になりました。

 

――しまね留学を通して知った、意外な自分の一面は?

 

小野さん:将来は保育士や幼稚園教諭を目指すと決めたのですが、保育者は子どもの保護者との関係性づくりもとても大切です。津和野に来て、同年代の人はもちろん、年上の大人の方と話す機会が多く、今なら「園児とその親御さんとも、密接に関わっていけるんじゃないかな」という自信がつきました。それに自分が思っていた以上に人と関わるのが好きなことにも気がついて、進学後にアルバイトをするなら接客業がいいなと思えるようになったのは、しまね留学での経験が大きいと思います。

 

 

楽しい思い出しかない、充実の3年間

 

――忘れられないエピソードはありますか。

 

小野さん:1年生の時にお世話になった下宿の方がすごく優しくて、ホームシックになったことは一度もないです。いろんなところにも連れて行ってくれましたし、今でも「メロンパンを買ったよ」と電話をくれて会いにきてくれるなど、津和野のお母さんみたいな大好きな存在です。部活動も学校生活も全部楽しくて、本当にいい思い出です。印象的だったのは、「しまね探究フェスタ」。津和野高校だけじゃなくて、他の高校の人とも関われたので、自分たちだけでは浮かばなかった考えやアイデアをもらえて、考えが深まりました。 島根にはこういうイベントが多くて、それも「しまね留学」の魅力だと思います。

 

――津和野のお気に入りスポットは?

 

小野さん:すごくたくさんありますが、例えば殿町通りと本町通り。銀杏の木があって、鯉が泳いでいてすごく雰囲気がいいんです。カフェもあるので放課後に寮生で集まってお茶をしに行くこともありますね。あとは学校からは遠いのでバスで行かないといけませんが、友達と行った堀庭園という場所が好きです。それからSNSでしか見ていませんが、来年からは寮が建て替わって、すごくきれいになりますよ。私はあと少しで卒業ですが、進学後も何度でも訪れたい大好きな場所がたくさんあります。

 

 

これからしまね留学を目指す方へ

親元を離れて寮や下宿で生活をするので、精神的にも自立できると思います。あとは私がそうだったように、自分が知らなかった自分の一面を知ることができると思います。人って案外、自分のことってわからないものだと思います。せっかく環境が変わって関わる人も変わるので、いろんなことに挑戦して新しい自分に出会ってほしいです。そして私みたいに、少しでも自信を持って卒業をしてくれたら嬉しいですね。

学校情報

島根県立津和野高等学校

〒699-5605
島根県 鹿足郡津和野町 後田ハ12-3
TEL:0856-72-0106

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