卒業生の声

2024.06.27

飯南町で豊かな経験をした草間美里さん
今度は自分が地域を支える存在に!

飯南町まちづくり推進課 主事・島根県立飯南高等学校

草間 美里さん

・千葉県出身
・島根県立飯南高校で3年間過ごす中で地域づくりに意義を見出す
・福知山公立大学を経て飯南町役場に就職

草間 美里さん

飯南町で豊かな経験をした草間美里さん、今度は自分が地域を支える存在に!

草間美里さん(平成30年度卒業)は島根県立飯南高校(島根県飯石郡飯南町)でしまね留学を経験。卒業後は京都府の大学で地域づくりを学び、新卒で飯南町役場に就職しました。現在は「まちづくり推進課」で定住担当として業務に取り組んでいます。今の仕事への志は、高校時代に飯南町の人と交流を重ねたことから芽生えたとか。インタビューでは、草間さんの留学時代の思い出や地域での活動、飯南町の魅力などについて伺いました。

 

 

高校・大学の地域活動の経験を飯南町で生かしたい

 

ーー飯南町での就職を選んだ理由を教えてください。

草間さん:飯南高校で3年間過ごしたことから地域課題解決を学ぶ大学に進学し、その経歴をいかせる職に就きたいと思っていました。最初は全国の市役所や町役場を視野に入れていましたが、高校時代にお世話になった方が役場の職員さんだったので、役場がいいのかなと考え始めました。当初は飯南町にこだわりはありませんでしたが、せっかくならお世話になった町に応募してみようと思い立ちました。また、飯南町には県外から来た学生がホストファミリーさんにサポートしてもらえる仕組みがあります。私のホストファミリーさんは第2の両親のような存在で、大学時代も頻繁に連絡を取ってくださったので、飯南町との関係が途切れることはありませんでした。これが就職を決めるきっかけとなりました。

 

ーーホストファミリーさんとはどんな交流がありましたか。

草間さん:高校時代は寮に住んでいましたが、ホストファミリーさんが地域の行事に連れて行ってくれたり、美味しいご飯を振る舞ってくれたり、体調が悪いときは病院にも連れて行ってくれました。 卒業後もLINEで連絡を取り合ったり、大学のある福知山市に遊びに来てくれたり、私も飯南町へ遊びに行ったりしていました。

 

高校生のときの草間さん(左)

 

ーー高校のときに取り組んだマイプロジェクトはどんなものですか。

草間さん:高校2年生のとき、飯南町の観光客を増やす目標を立て、自分たちで主体的に考えるプロジェクトをチームで取り組みました。

 

ーー高校の時に地域課題を感じたことはありましたか。

草間さん:はい。「もっと自分にも何かできるのではないか」という気持ちがありました。飯南町についてあまり詳しくなかったので地域を知りたいと思い、自分がどうなじんでいけるかを重点的に考えて行動していました。高校1年生の時から地域に出て活動する「生命地域ラボ」にも参加。任意の活動でしたが、飯南町について知識を深めようという意欲のもとに挑戦しました。地域行事のお手伝いをしたり、自分の提案したいことを実現するために積極的に活動したりしました。

 

ーー社会人として飯南町役場の職員として働く立場になった今、どんな気持ちですか。

草間さん:しまね留学の3年間を振り返ると、自分が当時過ごしていた飯南町よりも地域がずっと広いと感じます。見る視点が変わったこともあり、まだまだ知らないことだらけだと実感しています。私は定住に関する仕事をしていますが、町外から来た方の住宅がどれくらいあるかも知りませんでした。高校のころは飯南高校に留学生として県外からたくさんの人が来ているとは知っていましたが、一般の方々がこんなに飯南町に移住しているなんて考えたこともありませんでした。

 

ーー 大学の時も地域に入っていろいろな活動をしていたんですか。

草間さん:それが、大学生活がちょうど新型コロナの時期と重なってしまって……。1回生のときはフィールドワークができましたが、2回生から3回生はずっとオンライン授業。地域活動ができる大学だったのに、実際には地域の方々とプロジェクトをする機会がなかったんです。卒業研究のときにやっといろんな場所に取材に行けるようになりました。大学2、3回生の時期は地域づくり活動ができるチャンスだったのに、少しもやもやした気持ちが残りました。高校時代の方が地域に出られる機会が多かったですね。

 

適度な距離感で馴染みやすい〝余白〟のある環境

 

ーー今は主に町内の仕事の斡旋や情報発信をされているそうですね。業務について具体的に教えてください。

草間さん:定住担当として東京で行われる移住相談会に参加し、そこで相談にのることもあります。ときどき「島根の高校に行きたい」という中学生と接する機会もあり、そういうときは自分の経験が役立っているなと感じます。新卒としてはかなり責任の重い仕事だとも感じています。

 

ーー学生時代と現在で飯南町の魅力や好きな点に変化はありますか?

草間さん:学生時代も積極的に地域に入っていくことが多かったのですが、そのときに皆さんから感じた優しさ、受け入れてくれる姿勢は今も変わっていません。
現在は地域のよさこいチームに所属しています。チームに入ることで地域との関わりが深まり、週1回の練習やお祭りで踊るときには、高校時代にお世話になったホストファミリーさんの家に泊めてもらっています。大人になっても皆さんに助けてもらえるのはありがたいです。温かく接してくれ、「飯南高校にいたんでしょ」と声をかけてくれるのも嬉しいですね。個人に対する優しい気遣いや関心は、千葉県では得られないものだと思います。移住してもすぐになじめる余白のようなものがあると感じます。

 

よさこいチームの一員としてイベントに参加。

 

ーー高校時代も同じような感覚を持っていましたか。

草間さん:はい、高校時代もそう感じていました。地域の人が話をしっかり聞いてくれたことが自信につながったと思います。飯南町には自分の居場所があり、一人ひとりが輝ける環境だと感じていました。今もホストファミリーさんが継続的に関わってくれていて、人の温かさを大人になっても変わらず感じます。

 

支えられる側から支える側になり、まちづくりに取り組む

 

ーー飯南町に戻ってきて、何か挑戦したいこと、関わりたいと思っていることはありますか。

草間さん:高校で学校運営のサポートや総合的な探求の時間、課外活動などに関わることのできるコーディネーターは興味がありますね。自分のこれまでの経験が活かせるし、与えられる側から提供する側になったので、違った視点を持てると思います。
まずは地域の住民の方々に対して、きちんとしたサービスを提供したいと考えています。今ここに住んでいる人が快適に暮らせるようなことから始めていきたいですね。

 

ーーそういう意識は大人になってから芽生えたものですか。

草間さん:高校・大学時代は、積極的な挑戦を重視していました。しかし役場に入ると、移住者だけでなく地域の住民に対しても、当たり前のことをきちんと実行することが大切だという意識が強くなりました。
高校時代はしまね留学で一時的に訪れているという感覚があり、どこか他人目線だったように思います。役場で地域の担当になり、街全体を考える責任を感じるようになりました。受け入れられて手助けをしてもらっていた立場から、自分が住む街をしっかりと運営しなければならない立場になったという意識の変化が生まれています。

 

 

ーー仕事では何か課題を持っていますか。

草間さん:就業担当として仕事に関する課題があります。この地域で仕事を求めているのは年配の方が多く、雇用する側とのマッチングが難しい状況。深刻というほどではないものの、常に人手が足りない状態や後継者不足などの問題もあります。

農業の研修にも関わっいて。現在飯南町では、定住財団の「UIターンしまね産業体験」の枠組みで2名の研修生を受け入れています。農業に興味を持っていただいている方を支援するため、広報活動などもしっかりしていきたいと思っています。

また、高校がなくなってしまうと地域としては絶望的な状況になるので、定住促進の取り組みもしています。

 

ーー飯南高校があることで生まれる地域の魅力は何だと思いますか。

草間さん:それはやっぱり「活気が出る」ということではないでしょうか。「生命地域ラボ」や「生命地域学習」などの取り組みによって高校生が住民と関わり、賑わいが生まれています。高校生にとっても地域とのつながりを感じられる機会が多いのも良いと思います。若者の活力があるかないかで、地域の雰囲気に大きな違いが出るでしょう。飯南町では地域の人々も地元の学校を大切にしていると感じます。もし高校がなくなってしまったら若者たちがふるさとを離れていってしまう可能性が高いです。

 

ーー今の飯南町で好きなところはありますか。

草間さん県外から来ている方が多く、田舎特有の閉鎖的な雰囲気がないところが好きです。田舎だと移住者は良くも悪くも目立ちますが、飯南町のみなさんは受け入れる姿勢があって、関わり方のバランスがちょうど良いと感じます。個々が輝ける環境がありながら注目されすぎないので、自分らしく行動しやすいですね。地区ごとに多彩なイベントが行われ活気があるところも好きです。私は戻ってきたばかりでまだ力を発揮できていないのですが、せっかくなので地域の役に立ちたいです。

 

町内を流れるきれいな川で。

これからしまね留学を目指す方へ

しまね留学をする人は、“誰かにやらされる”のではなく“自らその道を選択する”人が多いと思います。私は「せっかく来たのだから」と自分から積極的に活動しました。島根はそう思わせてくれる、行動原理が生まれやすい環境です。自発的に地方を選ぶ人にとって、しまね留学は最適な環境でしょう。ぜひ一歩踏み出してみてください。

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