島根県立浜田水産高校 政木仁さん

将来は海で活躍できる人材に
将来の夢を胸にしまね留学した政木仁さん

島根県内には2つの水産高校があります。そのうちの一つである同県立浜田水産高校(同県浜田市)は、日本海の海岸沿いに校舎を構え、県内外から水産関係の道を志す生徒が集まります。長期の乗船実習など、実践的な学びの場を提供している同校を2021年3月に卒業したのが、広島県からしまね留学に来た政木仁さん(18)(※年齢は取材当時)です。卒業後は同校の専攻科(※1)に進学し、上級海技士の資格取得に向けさらなる研鑽を積んでいます。3年間のしまね留学生活について、3年間担任を受け持った金築守先生とともに振り返りました。

 

※1 同校内に設置されている上級海技士を目指す学科。同校卒業後に2年間学ぶ。

海に関係する仕事に就こうと水産高校に進学

――政木さんは広島県安芸高田市の中学から浜田水産高校に入学しました。なぜ水産高校に進まれたのでしょうか。

政木仁さん(以下、政木さん):実家は広島県の山の方でして、隣接する島根県には海水浴や釣りによく来ていました。魚も好きだったため「自分の好きなことを仕事に」と考え、最終的に漁師など海に関係する仕事に結び付いたんです。それで水産高校に行こうと考えました。

――水産高校の中でも浜田水産に決めた理由は何ですか。

政木さん:実家からも近く、何より実習が豊富だったのが決め手でした。授業で得られる知識だけでなく、実習から技術を身に付けたいという思いから進学を決めました。

――親元を離れることでの不安はありませんでしたか。

政木さん:寮生活と、同級生や先輩方と仲良くできるかということが不安でした。

――県外生は毎年増えているのでしょうか。

金築守先生(以下、金築先生):県外からの留学生は毎年10人ほど受け入れています。寮の定員もあるため、これ以上は難しいのが現状です。しまね留学で本校に入学する生徒は、政木くんと同じ海洋技術科(※2)が多いですね。
※2 同校では海洋技術科のほか、食品の流通に関する専門知識などを学ぶ食品流通科がある。


――どういった方がしまね留学を活用して浜田水産に入学するのでしょうか。

金築先生:政木くんのように目的を持ってきた生徒は、自分で目的を見つけて努力します。結果、成績上位の子が多いですね。ただ勉強が苦手でも、途中で目的を見つけて勉強し、一気に伸びる子もいます。

数々の専門用語に最初は戸惑った

――実際に浜田水産高校に入学していかがでしたか。

政木さん:「高校からは専門科目を中心に学べるんだ」ということでとてもわくわくしていました。入学式は両親と一緒に参加しましたが、学校のすぐ近くにある実習船の前で一緒に写真を撮りました。

――専門の授業で学ばれている過程で戸惑ったことはありましたか。

政木さん:知っておかなければならない専門用語も多く、慣れないうちは戸惑いました。僕以外の生徒も同じだったと思います。ただ、こういうのは慣れで、実習を進めていくうちにわかるようになりました。

金築先生:「カッター」という手こぎのボートをみんなで漕ぐ実習があります。手こぎに使うオールの名称だったり、かけ声の出し方が独特だったりと、最初は慣れないことが多いです。私が担当している船舶のエンジンに関する授業でも、エンジンの各部品の名前を理解してないと、授業の内容もわからないと思います。

――実習で印象に残っていることはありますか。

政木さん:一番印象に残っているのは1年生の6月ぐらいにあったトビウオ漁の実習です。初めて漁に出る実習で、自分に何ができて何ができないのか多くの発見がありましたし、何より海に出られた楽しさがありました。2日間ありましたが、2日目は船酔いが辛かったことを覚えています(笑)

――3年間で特に頑張ったことはなんですか。

政木さん:高校で取れる資格は、なるべく取ってやろうと頑張りました。全部は取れませんでしたが、多くの資格を取得できました。

金築先生:政木くんは謙遜していますが、在学中落ちた資格はたった1つだけです。落ちた資格は、受験した生徒が全員不合格という非常に難しいものでした。それ以外の資格には全て一発で合格していて、とても優秀な生徒でした。特に応用能力が非常に長けていていましたね。本人はもともと船を操縦する航海士(※3)になる道を考えていたそうですが、それを承知の上で私の専門の機関士(※3)育成コースに誘ってしまったほどです。
※3 航海士は船の頭脳であり、操縦や総指揮を、機関士は船の心臓とも言えるエンジン・その他の機器が機能するようメンテナンスや整備を担当する。


――何が資格取得に駆り立てたのでしょうか。

 

政木さん:資格を取ることができるのが魅力だと思い浜田水産に入学したので、「入学したからには資格を取って卒業しよう」と考えていました。自分の環境を精一杯活用したいという思いがありましたね。また、受験するにもお金がかかるので、そのお金を無駄にしたくないという気持ちもありました。

――資格試験に向けてどんな勉強をしていたのでしょうか。

政木さん:1日の勉強の範囲を決めて、その範囲をしっかり覚えて次に進むということを繰り返していました。一つ一つの分野を押さえ、しっかり覚えて次のところに行きつつ、復習も欠かさないことが大切だと思います。中学まで、そんなに勉強ができるほうではなかったのですが、浜田水産の先生に資格試験の勉強の仕方を教えてもらいながら取り組むことができました。

サポート体制がしっかりした寮生活

――寮から学校に通われていたそうですが、3年間の寮生活はいかがでしたか。

政木さん:寮には県内や県外のいろいろな地域から生徒が集まっていて、寮生と話すのが楽しかったです。先輩と同部屋だったこともあり、貴重な体験ができました。人と話すのはそれほど得意ではなかったのですが、寮生活を経て話せるようになったと思います。

金築先生:私から見ると、積極的にいろいろな生徒と交流を持ち、誰にでも快く対応していくところがあったと思います。彼を慕う生徒も多かったです。リーダーシップがあり、生徒会副会長や寮長もやっていました。

――寮生活で大変だったことはありますか。

政木さん:実は朝が苦手だったので、早起きが大変でした。普段は毎朝決まった時間に点呼の放送があります。ただ、乗船実習がある日は朝4時前など、早い時間に一人で起きなければいけません。寝坊しないよう気を付けるのが大変でした。

――しまね留学生に対して、学校ではどういったサポートがあるのでしょうか。

金築先生:政木くんのような県外生だけでなく、実家を離れて寮に入る県内生も少なくありません。高校としても、寮の食事面や体調面のサポートは常に配慮しています。例えば、寮には本校の教員が交代で宿泊し、平日だけでなく、土日も寮内に生徒がいる以上は、常に教員がいる体制にしています。教員同士で各生徒の状況を常に共有しながら、サポート体制を構築しています。

政木さん:寮では先生と一緒に会話しながら、ご飯を食べた思い出があります。雑談から相談に乗ってくれたり、勉強面でのサポートもしてくれたりしたので、とても心強かったです。「帰省願」を出せば、普段の土日でも気軽に実家に帰ることもできましたので、親元から離れる寂しさみたいなものはそれほど感じなかったです。

海技士免許取得目指す

――改めて、高校3年間を振り返ってみていかがですか。

政木さん:高校から勉強する習慣が身につき、資格の勉強など、いろいろな目標に向かって努力していけたことは自分で褒めてあげたいです。4月から専攻科に進学していますが、これからも海技士免許(※4)資格に向けてチャレンジしていきたいと思います。
※4 航海士や機関士として大型船舶に乗船するために必要な国家資格。


――金築先生は政木さんの担任を3年間務められました。振り返ってみていかがでしょうか。

金築先生:応用力がある子だなとは思っていたのですが、予想以上に技術も知識も身に付けていきました。人間面でも大きく成長したのではないかと思います。現在は専攻科で上級の海技士免許取得に向け邁進しており、海に出て世界で活躍する人材になってくれると思います。ただ、願わくは将来は教員側として浜田水産高校に戻ってきてほしい思いもありますね。


政木さん:そう仰っていただけてとてもうれしいです。僕としても、機会があればまた戻ってきたいと思います。

――最後に、これから浜田水産高校を目指す県外の中学生に対してメッセージをお願いします。

金築先生:本校では実技に力を入れています。他校ではできない様々な経験ができると思います。一人一人親身になって考えてくれる先生ばかりですので、水産に興味がある全国の生徒にぜひ入学してほしいです。

政木さん:浜田市は海にも近く、のどかで良いところです。僕自身は浜田水産高校に来てとても良かったと思っています。とてもおすすめできる高校です。

 

学校情報

島根県立浜田水産高等学校

 

〒697-0051
島根県 浜田市 瀬戸ヶ島町25番地の3
TEL : 0855-22-3098

 

学校詳細 : https://shimane-ryugaku.jp/hamasui/